言葉って嘘くさくてきらいだ
言葉って嘘くさくてきらいだ。
たとえば、いい映画を観たとき、いい本を読んだとき
すぐには言葉なんか出てこない。
何を言ったって、何を書いたって、自分の言葉など陳腐そのものでしかない。
それと同じことが、人間相手にも起こる。
相手を本当に尊重したいと思ったとき、相手の深さを想像してしまったとき、
もう言葉なんかひとつも出てこない。というか、出せない。
会うのも困難になる。
出てきた言葉は、出てきた先から、安っぽいものに変質するような気がする。
自分の書いた言葉に自分で煩悶する。
そうして、こんな文章ですら、書いた次の瞬間には偽物に変わってしまう。
だから、誰かに読んで欲しいと思いつつも、あまり読まれない場所に書くしかない。
頼むから、誰も反応しないで欲しい。読者になんかならないで欲しい。
読むならこっそり読んで欲しい。
好きに書けなくなるから。