豆電球
雨竜にあるリサイクルショップ「豆電球」へ行ってきた。
雨竜は国道275号線沿いで深川より少し札幌寄り。旭川から行くと、車で1時間程度の町だ。雨竜といえば何が有名なんだろう。名前から思いつくのは雨竜沼湿原だけ。残念ながら行ったことはない。
自分の中では、雨竜といえば間違いなく「豆電球」だ。
普段リサイクルショップへ行くことなどほとんどないのだが、ここだけは遠出してでも行きたくなる場所。実際リサイクルショップというよりは、さながら大正・昭和博物館のようである。古いものがある程度集まるとそれ自体が引力を発生させて、さらに古いものがどんどん集まり、そういう現象が連鎖反応を起こしてこういうお店になったのではないか?僕はこのお店を見てそんな勝手な想像をしてしまう。
お店の存在は、2年ほど前に、東川にある手芸工房ウエカラパの店主さんから聞いた。このウエカラパも素敵なお店である。どちらかというと女性向けのお店なのであまりいく機会はないのだが、古めかしいミシンを使用させてくれる面白いお店である。ミシンカフェという言い方があるのかどうかわからないが、そう言いたくなるお店だ。
そして1度豆電球を訪れて以来、すっかりここの雰囲気に魅了されてしまった。
ここにはクラシックカメラがたくさん置いてある。フィルムは撮らないのだけど、昔のカメラは眺めているだけでまったく飽きない。時にはフィルム時代のオリンパスペンなんかもあったりする。価格もびっくりするほど高いわけではなく、ジャンク品でもないのに3000〜4000円で買えてしまうから、装飾用に買おうかとついつい考えてしまうのだ。いかんいかん、油断しては。
ここのスペースはすこし高い座敷になっていて、ちゃぶ台や机などがあっていい雰囲気を醸し出しているのだが、これは改築中に屋根が壊れてしまい、修復したことでこういう形になったということをお店の奥さんが話してくれた。災い転じて福となす、である。
入り口から入ってすぐのスペースも相当広いのだが、この化粧室と書かれた扉の向こうが渡り廊下になっている。もう一棟建物があり、そこに続く廊下だ。
この建物、実は校舎を再利用している。この「化粧室」の札はリサイクルしているのかどうか定かではないが、他にも「職員室」「物品庫」などの札もあり、学校の雰囲気を多分に残している。
廊下に出るとすぐ目に付くのが、古い振子時計と、ずらりと並ぶオロナミンCの古い看板だ。時間になると、時計はボーンボーンと味わい深い音を出す。体全体にに響くような、なんとも言えないいい音だ。
廊下を抜けると別棟の建物につながる。最初の棟とだいたい同じ広さがある。初めて来た人は、この奥行きの広さに驚くだろう。
楽器、ソロバン、スピーカーやアンプ、レコードなど、ほんとにさまざまなものが置いてある。うっかり見つけてしまった「まりもっこり」。これももう、昔のものになってしまったのか。
再び廊下。この天井の木目は、迫力がありすぎる。
鍵盤の奥の丸いスイッチのようなものが、何となく気に入った。
これもいつもすごいなって思う。本当の車の上から鉄板を張り付けたんだろうか。
これは、豆電球オリジナル商品。炎が揺らめくように光る電球は、なんとLED。こんなものまで出てきてしまったら、いよいよ電球の出番はなくなってしまうという気がする。
また、いたるところに、ランプ類も充実している店内。
「なあに?」って見ているような感じが愛らしすぎて、思わずパシャリ。
ひとしきり撮った後で、お店の奥さんが話しかけてくる。こちらはろくに買いもしないで申し訳ない気持ちでいるのだが、奥さんはこうやって写真を撮ってもらえることがとても嬉しく、またお客さんと話をするのが大好きなのだという。買っていった物をとてもセンスよく使っているのを報告してくれるのも嬉しくて、お断りをした上でディスプレイに反映させたりもするんだそうだ。旦那さんも感じのいい人で、口数は少なそうだが写真を撮らせてもらうことにまんざらでもなさそうだ。
ここはあまりにもたくさんのものがあり過ぎて、買い出したらそれこそきりがなさそうなのだが、どうしてもなかなか買う気になれないのは、すべてのものがそこに似合い過ぎていて、そこから動かしたくないからだ。ここに置いてある物たちは、中途半端に買っていかれるよりも絶対ここに置いてある方が幸せそうなのである。むしろ、入館料を取ってじっくり観てもらうほうがいいのかもしれない。
いや、でもやっぱりときどきは買いたいかな。
6月14日には、10周年を記念して店内で無料ライブがある。都合が合えば行きたいと思っている。たくさん撮らせてもらったお礼に、良く撮れたものを何枚かプリントしてプレゼントに持って行ってあげよう。
営業は冬をのぞく、土・日・月。夜6時まで。
雨竜近辺を通るときは、ぜひとも立ち寄ってもらいたい場所だ。