「逃げ恥」についての考察
TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』がおととい最終回を迎えた。
今日、TBSオンデマンドでじっくり二回目を観た。
しみじみと、しっくり。
ときどき泣きそうになりながら、やっぱり最後までいいドラマだな、と実感。
言い訳っぽいけど、本当に最近はドラマなんか観ない。
今回観始めたのは、つけていたテレビで第5話の冒頭部分が流れていたのを偶然目にし、まあいつもの安っぽいドラマだろうと高をくくってすぐにスイッチを切ったものの、どうしても気になってあとでネットで観たら、その面白さに引き込まれてしまったという顛末。自分の直感は素直に信じた方がいい。
はっきり言って、変なドラマだったと思う。よくこんなテーマを思いついたものだと。でも同時にそれは、だれもが漠然と感じていながら言語化できなかったもの。そうでなければここまでの人気にはならなかっただろう。原作者の視点や表現力もすごいと思うが、ドラマの仕上がりは原作マンガとはまた違う雰囲気で、演出によってさらに面白くなっている。ムズキュンという言葉で表現されたように、ラブコメとしても十分に面白いが、注目すべきはそのメッセージ性の高さだ。
とりわけ、今の自分が必要とするメッセージがたっぷりとつまっていると感じた。その中でも、特に気になったのは以下の言葉。
「極限までラクをしようとすると、人は死に向かう」
ドキッとした。ここ数年間自分がしてきたことが、この言葉に凝縮されている気がした。生きる上で面倒な行為をいかに省けるか、それを長いこと追求してきた末、絶望的な行き詰まりを迎えていたのが、ここ最近の自分の状況だった。もう先が見えないくらい追いつめられていた。
生きるというのは、めんどくさいこと。
一人で生きるにしても、誰かと生きるにしても。
それに対して、人はどう向き合うべきなのか。たまに逃げることはあっても、めんどくささを退けることなく、どう引き受けていくか。折り合いをつけていくか。ひとことで総括するなら、このドラマはそういうメッセージを伝えていたように思う。
人生はいつだって、必要なものを必要なタイミングで用意してくれるように思える。
少々オカルト的ではあるけれど、その点において人生そのものが信頼できるものだ。
良質な物語、ほんものの言葉に出会えた時、ああ生きていてよかったと思う。
けっして大げさな話ではなく。